【閲覧注意】孤独死を他人事にはできない7つの理由~専門家がみたリアルな現場~

孤独死を他人事にはできない7つの理由

暮らし 相続のいろは

(※実際の写真をたくさん掲載していますので、人によっては不快に感じられるかもしれません。閲覧は自己責任でご覧下さい)

家族や社会との繋がりがあれば本来起こりえない孤独死。
なぜ、孤独死が社会問題になっているのかわかりますか?

それは、現代社会の風潮である「希薄になった家族や社会との繋がり」に起因しているからです。

孤独死とは、事件性がなく、誰にも看取られることなく死亡し、発見されることです。
家族や近所の方と交流があれば防げるはずの最期ですので、発見されたときにはどんな生活をしていたのか、何が原因で亡くなったのか、そもそも死亡日はいつなのかなど、全く状況がわからないことがほとんどです。
そして、疎遠ゆえに、通常の死で起こりえない家族や近所の方を巻き込む多くの問題やトラブルが発生するのが孤独死の現状です。

また、孤独死は、高齢者に限った問題ではありません。
実際に遺品整理に入った現場には30、40代の働き盛り世代も多く見受けられます。
これがどういう意味を持ち、私たちは何を考えるべきなのか…

孤独死のリアルな現状と問題点を、自分にも起こり得るものとして捉えるべき時にきています。
今、孤独死を防ぐために私たちがすべきことを一緒に考えてみたいと思います。

1.私たちが現場で見てきた孤独死の悲惨な3つの事例

孤独死と聞いたとき、どんな状況を想像されますか?
ゴミの山、ペットのケージや毛、虫、山積みの服、汚れたトイレなど、壮絶な状況が思い浮かぶかと思います。

私たちは遺産相続手続きの専門家として、孤独死の相続手続きもたくさんお手伝いしてきました。
単に手続きをするだけではなく、相続人の方と一緒に、または相続人の方の了承を得た上でカギをお預かりして現地に入ったことも何度もあります。

率直にお伝えしますと、現場は皆様の想像以上です。
私たちが見たこと、感じたことを、具体例を挙げてご紹介します。

※守秘義務との関係で実際の事例が特定されることを避けるために、事実関係を一部変更しているものもあります。予めご了承ください。

1-1.離婚して一人暮らしになった孤独な男性の最期

千葉の一戸建てに住む60代の男性は、孤独死して2カ月以上も発見されませんでした。

発見されたのは8月の真夏。
見つかった原因は、暑さによって腐敗が進んだことによる異臭でした。
つまり、死亡から2カ月もの間、誰からもその男性に連絡することはなかったのです。

生い茂った庭

(庭の木は生い茂り、敷地内の小屋に近づけない状況)

鍵を開ける前から漂う異臭。
すでに警察が入り、検案まで終わっているにも関わらず、家の周辺には何とも言えない異臭が漂っていました。
もちろん両隣にもご自宅、道を挟んだ向かいにもご自宅。
生活をされている様子もあり、苦情が出るのも当然だと感じました。

現地を訪ねたのは8月末。
まだ暑さの厳しい時期ということもあり、玄関を開けると室内にこもった熱気が一気に玄関へ向かって流れました。
外で感じたのとは桁違いの臭い。
ここまで臭いが充満してしまうと取り除くことは不可能で、自宅はもちろん解体になることが容易に想像できました。

いざ足を踏み入れ、まず初めに感じたのはセルフネグレクト(自己放任)でした。

ゴミ屋敷1

(どこで生活をしていたのか想像できない室内)

ゴミ屋敷2

(もはやキッチンとは言えない壮絶な状況)

ゴミ屋敷3

(洗濯物もいつから干されたままなのか)

とても生活していたようには見えません。
どこで食事をしていたのか、どこで寝ていたのか、どこで生活をしていたのかさえ、全く想像ができない自宅でした。

自宅で仕事をしていたのか、何か勉強をしていたのかわかりませんが、唯一机の周りだけはまだ足の踏み場がありました。
棚や引き出しには裁判に関する資料や書類があり、当事者として何か自分で裁判をしているようでもありました。

ゴミ屋敷4

(まだなんとか使えそうな状況の机)

相続関係を調べる中で、子供が二人いることはわかっています。
配偶者とは子供が幼いうちに離婚しておられました。

ここまでの状況になる前に子供やご近所の人に相談することはできなかったのでしょうか…
机のデスクマットの下にあった色褪せた子供の写真だけが心の拠り所だったのかもしれません。

孤立が招いた最期であることは間違いありません。

1-2.健康が自慢だった独身女性が突然倒れて孤独死

「健康だけが自慢なの」

これが女性の口癖でした。

まだ50 代だった女性が突然亡くなった原因は「急性心不全」でした。

独身一人暮らしの女性はパート勤務でしたが、運悪くその時は3 連休の初日。
連休明けの勤務日になっても出勤しないことに違和感をもった勤務先の人が電話をかけても繋がらず、自宅へ行っても鍵がかかったまま。
不安に感じた勤務先の人が警察を呼んだときにはすでに死亡から3 日が経過していました。

まだ比較的早期の発見ということもあり、近隣への異臭などが問題になることはありませんでした。
室内も本当に「死ぬなんて思ってもいなかった」という言葉の通り、キッチンには買い物が終わった後の調味料、冷蔵庫には刺身、室内には取り込み前の洗濯物、たたまれた布団などがそのままの状態で残っていました。

お風呂場

(お風呂場には干す前の衣類がそのまま残っている)

キッチン

(キッチンには冷蔵庫に入れる前の買い物が置かれていた)

干されたままの衣類

(室内には取り込む前の衣類が干されている)

たたまれた布団

(几帳面にたたまれた布団とパジャマ)

自宅の荷物を片付けていると、遺言書のようなメモ書きが見つかりました。
独身で子供がおらず、両親もすでに他界していて、自分自身が一人っ子だった場合、相続人は誰もいません。
そのことをご存知だったのか、自分の将来について少し考え始めておられたようです。
笑顔いっぱいの旅行の写真もたくさんありましたので、一緒に写っている友人に財産を託そうとされたのかもしれません。

しかし、それも突然叶わぬことになりました。

葬儀や火葬は役所が済ませ、預金通帳に記されていた1,000万円は家庭裁判所の選任により相続財産管理人が管理することになりました。

普通に仕事をして、普通に生活していても、一人暮らしの場合には絶対に起こり得る孤独死。
どれだけ健康であっても、もしかしたら足を滑らせて頭を打ってそのまま…という事故の可能性も否定できません。

孤独死は突然起こるのです。

1-3.恨みながら一人で息を引き取った男性

愛知県に住む男性は60代の自営業で、自宅兼事務所で仕事をしていました。

もう最後は仕事をしていなかったようですが、税理士の話によると前年の確定申告までは売上があったので、今年に入ってから急激に体調が悪化し、廃業に至ったようです。

相談を受け、現地に行ったときにはすでに遺品整理が終わった後だったので、家の中に荷物は全くありませんでしたが、部屋に充満する異臭は残ったままでした。

死後1カ月経過した頃に、夜になってもずっと毎日電気がついていることに違和感をもった近所の人が通報して発見されたようです。

何も残っていない自宅内を見て感じたこと、それは「恨み」「怨念」でした。

私も霊感があるわけでもなく、現地で何かが見えたわけではありませんが、その室内に遺された痕跡から感じることができました。

汚れたキッチン

(この状態で使われていたのだろうか…)

焦げ跡

(原因はわからないが、壁が焦げていることは間違いない)

何かの痕

(床に布団を敷いていたのだろうか、明らかに「痕」がある)

壁の傷跡

(「どうでもいい」と切り刻まれているように見える)

何かを燃やしたのか飛び散ったのかわからないキッチンの壁、明らかに燃えている壁の焦げ跡、床にこびりついて取れない体液、壁に切り刻まれたメッセージなど。

自宅内で一人で亡くなっているのが見つかった場合、事件性があるかないかを調べる為に監察医による検死が行われます。
そして死体検案書が作成されるのですが、自殺かどうかは死因や医師の記入内容を見ればわかります。
今回のその内容から自殺ではなく孤独死であることが推測されました。

精神的なトラブルから一人になり、自宅に閉じこもり、体調を崩し、結果的に孤独死されるというケースもたくさんあります。

まさにこの事例はそういったケースに該当するものだったのでしょう。

2.「無縁社会」にみる孤独死に陥る原因

さて、具体的な孤独死の事例をご紹介しましたが、2010年流行語大賞にもノミネートされた「無縁社会」という言葉。
この無縁社会が孤独死を招く一番の原因であるといえます。

無縁になる原因は大きく分けて2つ存在します。

2-1.家族との無縁

核家族、単身世帯が増えている現代の特徴が孤独死を招く一因となっています。

令和2(2020)年版高齢社会白書によると、65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増加傾向にあり、昭和 55(1980)年には男性約19万人、女性約 69万人でしたが、令和2(2020)年には男性約 192万人、女性約400万人となっています。

40年前と比べて、男性は約10倍、女性は約6倍にもなっていることがわかります。

65歳以上の高齢者の一人暮らしの数

では、孤独死をした人は男性か女性、どちらが多いと思いますか?

実は、孤独死した人の全年齢での男女比は、男性83.1%と約8割、女性16.9%と約2割というデータがあります。
10人のうち8人は男性という驚きのデータです。
男女の人口比はほぼ1:1であるのに対し、孤独死した人の割合は8:2なのです。

孤独死の男女比

なぜこのような差が生じるのかというと、女性は幼少期より誰かと一緒に行動したり、悩みを人に打ち明けて解決する傾向があるのに対し、男性は一人での行動を好んだり、一人で考えて解決する傾向にあります。
こういった男女ならではの行動や考え方の違いが孤独死に陥る男女比の違いに起因しているようです。

また、孤独死は高齢者に限ったことではありません。
日本少額短期保険協会がまとめた第5回孤独死現状レポートによると、孤独死の平均年齢は男女ともに約61歳で、60歳未満の割合は全体の40%を超えています。

死亡年齢の構成比

このグラフからわかることは、困っていても身内にさえ助けを求めない若い世代や働き盛りの世代が増えているということです。

30代と言えば、同級生や同期は働き盛りで仕事をバリバリしており、出世コースを歩んでいる人もいる年代です。その中で、生活が苦になっていることを後ろめたく、家族に申し訳ない気持ちで打ち明けることが出来ない心理も働いているのかと予想されます。

40代では、バブル崩壊後の就職氷河期の影響により、アルバイト・パートや派遣社員といった非正規雇用での就労を長年余儀なくされてきた人が多い傾向があります。

一方、バブル期に採用された50代は、その後リストラの対象となって収入が激減したというケースも少なくありません。

このように、40~50代では雇用の不安定さも当然ながら、さらに生涯未婚率上昇による「ソロ化」が背景にあるとも考えられます。

日本人の生涯未婚率は上昇傾向にあり、平成27(2019)年の国勢調査結果では、生涯未婚率は男性だと約4人に1人、女性で約7人に1人、と男性の方が「おひとりさま」を好む傾向にあるようです。

これは、50年前と比べると、男性では約10倍、女性では約8倍にもなる数字です。

このように、“核家族”、“単身世帯”、“生涯未婚”といった現代の家族構成の特徴が、孤独死を招く背景となっているのです。

2-2.社会との無縁

平成29(2017)年版高齢社会白書によると、60歳以上の高齢者全体で、毎日会話をしている人が9割を超えているのに対して、一人暮らしの男性は約3割、女性は約2割が、2~3日に一度以下となっています。

高齢者の会話の頻度

同じく内閣府が行った高齢者の住宅と生活環境に関する調査では、近所付き合いに関して見てみると、一人暮らしで「つきあいがほとんどない、あいさつをする程度」と回答した女性はわずか39.1%であるのに対して、男性は54.5%という結果となりました。

つまり60歳以上の一人暮らしの男性のうち半分以上は、近所付き合いや人との交流がなく、頼れる人がいない人が多いというのが現実なのです。

60歳以上高齢者の近所付き合い程度

孤独死を遂げた働き盛り世代の多くは、食べることでさえ困っている状況であっても、

  • 家族だけでなく、友人や職場の人にも迷惑を掛けたくないという強い気持ち
  • 同年代でバリバリ働いている友人などに対してはプライドが邪魔をして困っている現状を知られたくないという気持ち
  • 自分自身の状況を受け入れられないという心理

がはたらいているようです。

生活保護の申請をすれば、衣食住も何とか保て、また社会との関わりも持てるところを、上記の理由から、自分の命を守ることを妨げてしまっているようです。

また、冒頭の事例にもありました通り、孤独死に至る人はセルフネグレクト(自己放任)に陥る傾向も多く、孤独死の8割を占めているようです。

身近に「社会から見えにくい、社会から身を隠す」ような人がいれば、その人は孤独死の予備軍といえるかもしれません。

3.孤独死の問題、それは「孤独死が起こること」自体が問題

孤独死について最も考えるべきこと、それは孤独死が発生した後の様々な手続きや問題よりも、人や社会との繋がりがあれば起こるはずのない孤独死が発生し、それが年々増え続けているということ自体が問題であるということです。

実際に相続手続きや遺品整理の現場に立ち会った際、毎日書き留められた日記、財産状況を整理してあるメモ書きなど、まるで孤独死を迎えるであろう自分の終末を予想していただろうという無言のメッセージが残されていることもあります。

つまり、家族、社会、仕事などどこかのコミュニティとの繋がりが一つでもあれば、絶対に孤独死は防ぐことができたはずです。

年齢とともに体が自由に動かなくなり介護が必要な状態になっても、家族を頼りたくない、介護施設に入居していた方が気が楽だという考え方をする人が増えています。

本来一番気を許せるはずの家族や身内の人が、一番気を遣われたくないという存在になってしまっている、そんな家庭や家族の在り方が孤独死を増加させているのだと思います。

孤独死の問題

4.事例から見えてきた孤独死の7つの問題

家族や社会との繋がりがあれば、起こるはずのない孤独死。

亡くなったときの状況がわからないゆえに多くの問題点があり、ご家族や親族だけでなく、全く縁のない方の孤独死が自分の身に降りかかってくることも有り得るということが、この7つの問題を知ることでお分かりいただけるかと思います。

4-1.第一発見者に迷惑がかかる

第一発見者に迷惑がかかる

  • 近所で異臭が発生している
  • 前を通るたびにいやな気配がする
  • もしや人が亡くなっているのでは…

そんな場面に出くわしたとき、近所と言えど、おそらく自分で勝手に他人の家に立ち入ることはないかと思います。
ではどこに連絡したらよいのでしょうか。

警察?救急車?大家さん?死因は自殺?他殺?孤独死?
いろいろ考えてしまうかもしれませんが、まずは落ち着いて警察に連絡を入れましょう。

孤独死現状レポートの統計によると、近所の人が孤独死の第一発見者である割合は15.1%、7人に1人はこんな場面に出くわすのです。

また、異臭による孤独死の発見は25.1%と、音信不通による発見(51.3%)に次ぐ発見理由の第2位となっており、年々増加傾向にあります。
つまり、自分が孤独死の第一発見者になることも十分あり得るということです。

身近で起こる孤独死により第一発見者になった場合、計り知れない恐怖感ともに第一発見者として警察への通報、また、事情聴取などの手間を取られることがわが身に降りかかることになります。

4-2.住んでいた家が事故物件になってしまう

住んでいた家が事故物件になってしまう

「事故物件」とは、家の敷地内で人の死に関わる事件や事故が起きた物件のことを言います。
「心理的瑕疵」物件とも言われますが、孤独死の場合も「事故物件」と同様に扱われる場合がほとんどです。

「死んでから数時間で発見された場合はどうなんですか?」
「病死でも事故物件なんですか?」
と聞かれることもよくありますが、仮に自分がその家に住むと考えた場合、家の中で亡くなったという事実を聞かされていなくて後で知った場合はどう感じますか?
「それなら引っ越しする前に言っておいて欲しかった…」と思われる方がほとんどだと思います。
これが心理的瑕疵の原則であり、常に相手の立場に立って考えることが大切です。

持ち家であれ賃貸であれ、孤独死が起こって事故物件として扱われた場合は、以下のような問題点が起こる可能性があります。

【持ち家の場合】
家族が売ろうとしてもなかなか売れなかったり、売れたとしても事故物件でなかった場合に比べて低い額になってしまう。

【賃貸の場合】
状況によっては今後の入居者が決まり難かったり賃料の減額が必要になるので、その分を家族が補償しなければならない場合がある。
賃貸物件のオーナーにとっては家賃収入が減る可能性が高い。

特に賃貸の場合は、こういったリスクを考えて、大家さんは単身世帯であったり身寄りのない高齢者への審査が厳しくなる傾向もあります。

4-3.異臭が発生して近隣に迷惑がかかる

異臭が発生して迷惑がかかる

発見が遅くなればなるほど遺体の腐敗が進み、これまで嗅いだことのないような強烈な異臭が発生します。
また、食品の腐敗や排水溝など水回りの悪臭も相まって、特に夏場においては家の前を通るだけで息をしていられないほどになります。
実際に1年を通して、孤独死を発見する時期が一番多いのが夏というデータもあります。

孤独死が発生しても、早期と言われる3日以内に発見すれば遺体の腐敗が防げ、被害を最小限にできますが、平均的な発見日数はどうなのでしょうか。
孤独死現状レポートによると、3日以内が全体の39.8%と約4割、1か月以上の長期化が15.9%と約2割弱、平均すると17日となっています。

【遺体の発見までの日数】
(※スマホの場合は横スクロールで全体をご覧いただけます)

3日以内2週間以内1か月以内1か月以上
3か月以内
3ヶ月以上平均
全体(%)39.829.514.814.21.717日

 

近所で孤独死が発生した場合に、近隣住民は毎日耐え難い悪臭と戦わなければなりません。
実際のところ、立ち入るとほとんどの現場が「ごみ屋敷」状態です。
遺体にはハエやアブがたかり、水場にはカビが発生し、トイレには排せつ物がそのまま残っている…前を通るだけで耐えきれない「異臭」がする、これが孤独死の現実なのです。

一日中自分の家まで異臭がし、窓すら開けられない、孤独死が身近で起こることによりこのような害を被ることも起こり得るのです。

4-4.空き家問題(放火、類焼・延焼、倒壊、不法占有などのリスク)が生じる

空き家問題が生じる

身内に孤独死が起こった場合、すぐにその建物を処分するにしても、処分するまでの期間はその家を管理する義務が発生します。
それは放棄を選択した場合も同じで、放棄をした瞬間に完全に責任がなくなるかというと、そうではない場合もあります。

古い建物であれば、自然災害などが起こった場合、倒壊したり、最悪の場合は火災の原因にもなり得ます。
空家だと知った不審者が侵入する可能性もゼロではありません。
ホームレスが住み着いたという事例も実際に起こっているのです。

身内で孤独死が起こった場合、こういったトラブルに巻き込まれ、責任を問われることも心得ておかなければなりません。
近所の方の感じ方によっては、調停や裁判、また多額の損害賠償を請求されることもあるかもしれません。

また、身内でなくとも自分の住んでいる近くで孤独死が発生した場合、異臭に対する苦痛のみならず、火災や倒壊の被害が自分の家にまで及ぶこともあり得ます。
帰宅途中、消防車のサイレンがなり、その先に煌々と燃えるわが家を目にするという信じがたい状況が実際には起こり得るのです。

4-5.退去時に驚くほど高額な請求をされる

退去時に高額請求される

発見が遅かった場合は異臭や汚れなど、通常の退去時の清掃ではカバーしきれず、「特殊清掃」という作業が必要になります。
さらに遺体が長期間発見されなかった場合、体液はクッションフロアを突き抜けて、ベニヤや断熱材、建物の基礎部分まで浸透しているケースも少なくはありません。
そうなった場合は原状回復にかかる費用も驚くような金額になります。

なんとか清掃を負えて無事に退去ができたとしても、「事故物件」はその後の賃料が下がったり入居者が見つかりにくい傾向がありますので、その分を家賃保証や事業補償として一括で支払わなければならない場合もあります。

当然ですが、亡くなった後ももちろん退去するまでの間は賃料が発生します。

これらの支払い義務は相続人と連帯保証人にあります。
相続人は相続放棄をすることで免れることができる費用もあるかもしれませんが、連帯保証人はそれができません。
相続放棄をした場合でも、連帯保証人としての支払い義務は残ってしまうのです。

孤独死現状レポートによると、実際にかかる費用として、大きく分けて残置物処理費用、原状回復費用、家賃補償費用の3つがあります。

  1. 残置物処理費用の平均は21万円程度
  2. 原状回復費用の平均は36万円程度
  3. 家賃保証費用の平均は32万円程度

つまり、合計約90万円程度の請求に対応しなければならないということです。

総額90万円の請求!?

疎遠だった身内の死亡にも関わらず、多額の出費を請求される…ということがある日自分の身に降りかかるかもしれません。

4-6.最愛のペットの行く末は…

最愛のペットの行く末は…

ペットも発見されるまでは買主と同じ状況です。
よって、発見時には残念ながら息を引き取っていたという場合も…

また、何とか生き抜いたペットでも引き取り手が見つかるかどうかはわかりません。
その場合、ペットの行く末が決まるまで、家族はお世話をしなければなりません。
取り合えず預かるにしても住居の問題があったり、仮に引き取れたものの、血液検査、エイズ検査、ノミダニ駆除、ワクチンなど、餌代以外にも10万円以上の費用がかかるというのが実際のところです。

不衛生な環境での過剰な数のペットの飼育は飼い、孤独死の80%を占めるセルフ・ネグレクト(自己放任)の一種ともいえ、特殊なケースではありません。
身内の死により、何匹ものペットの飼い主になることも他人事ではありません。
また、鳴き声や糞尿処理など、近隣から苦情を浴びることもあるかもしれません。
さらに、行く末が定まらないペットは保健所にて処分される可能性もゼロではないのです…

4-7.死後の相続手続きがすぐに始められない

死後の手続きがすぐに進められない

人の死に伴い、役所への死亡届の提出、銀行口座の凍結、その他相続財産の手続きなど、家族には膨大な事務作業が降りかかってきます。

しかし、孤独死の場合は医師の診断をもって死亡と判断されていませんので、すぐに死亡診断書を受け取ることができず、監察医によって検案・解剖した上で死体検案書という書類をもらうことになります。

この死体検案書ですが、遺体を発見したときの状態や程度によりますが、1ヵ月待つことも珍しくありません。
状態が悪ければDNA鑑定をして特定するといったことも必要になります。

その後、死体検案書と死亡届を役所に提出し、やっと戸籍に死亡が記載されます。
そして、ここから相続手続きが開始するのです。

孤独死した人に借金が見つかった場合、相続人は3か月以内に相続の手続きを行わなければすべての借金を背負うことになります
携帯電話の解約などをする場合も、死亡の事実を確認するまでは本人(亡くなった人)以外の申請は受け付けてもらえないことがほとんどです。
ということは、死亡から死亡届を受け取るまで、数ヵ月分の料金を家族は支払わなければならないことになります。

相続手続きをしようと思っても始められない、そしてその間にも余計な費用がかかってしまい、結果的に多額の予期せぬ出費が残された遺族に降りかかる、これが孤独死の現状なのです。

5.孤独死を防ぐためにできること

無縁社会に起因する孤独死。
家族や社会とのかかわりをもつことが最大の孤独死の防止につながります。

孤独死を防ぐために私たち一人一人ができることを4つ、ご紹介します。

  1. 家族や一人暮らしの親族と定期的に連絡を取る
  2. 定期的に医療機関を受診する
  3. 地域や共通の趣味を持つ友人を見つける
  4. 困っている近所の人がいたら役所に知らせる

5-1.家族や一人暮らしの親族と定期的に連絡を取る

単身世帯の人は、自分の家族と定期的に連絡を取ることから始めましょう。
これは自分自身にとっても家族にとっても孤独死を防ぐための効果があります。

一人暮らしをしている親族がいる場合も同様ですね。
気を遣わせないように、「わざわざ」連絡を取るのでなく、「ついでに」という感覚で接することも、相手に煩わしさを感じさせずつながりを維持する秘訣です。

5-2.定期的に医療機関を受診する

病気やケガなど体の不調があるときに利用するイメージの医療機関ですが、現代は変わってきています。
かかりつけ医の存在や定期健診を受けることも社会とのかかわりを持つ一つの方法であり、健康の維持だけではなく、孤独死予防につながります。

定期健康診断、歯の定期検診なども怠らずに受けましょう。

5-3.地域や共通の趣味を持つ友人を見つける

ご自身で趣味がある人は、地域のサークルやチームに入ることも大切です。
ご高齢の方でスポーツ系ならゲートボール、座ってできることでしたら囲碁や将棋なども会話が生まれるので良い環境ですね。

また、自治会に入ることも自分にとってはもちろん、近所で起こる孤独死を防ぐことが出来ます。

5-4.困っている近所の人がいたら役所に知らせる

当然と言えば当然のことですが、身近で生活に困っている、不自由している存在を知ったときは、近くの役所で地域担当をしている部署に知らせることも良い方法です。
その人にとっては余計なお世話かもしれませんが、もしかしたら自分から声を上げられず救済を待っているかもしれません。

また、家族や身内の負担にはなりたくないが、役所の職員など第三者であれば気兼ねなく心を開けるという方も実際に多くいらっしゃいます。

家族であれ、近所の人や友人であれ、気軽に連絡を取り合える関係づくりが鍵を握っています。

6.まとめ

孤独死が発生することによって生じる7つの問題をお伝えしましたが、孤独死を社会問題として考えるとき、

「孤独死が発生することによってどういった問題が生じるのか」

ではなく、

「孤独死が発生してしまう社会自体が問題である」

という視点で、改めて今の社会構造、経済、政治などあらゆることを考え直す必要があるかと思います。

当然昔も孤独死はあったと思いますが、インターネットも携帯電話もなかった時代は現実に人と人が会うことが当たり前であり、必然的に会話が生まれ、お互いの顔色や様子を確認することができました。

今より単身世帯も少なく、祖父母まで一緒に住んでいたというご家庭も多かったかと思います。

社会構造が変わり、人口ピラミッドが大きく変形してしまい、少子高齢化の状況を考えると当然同じような生活は成り立たないのですが、原点に返ると「そういった生活」が孤独死を自然と防いでいたということも忘れてはなりません。

人は一人では生きていけない、ということを孤独死が物語っています。
これらのメッセージを真摯に受取り、人とのかかわりを持つことの意味を今こそ考え直す時といえるでしょう。

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