自分の兄弟や、父母の兄弟が亡くなったときにも代襲相続は起こります。
兄弟姉妹の相続で代襲相続が発生したら
- 「誰が相続人になるのだろう」
- 「自分にも相続は回ってくるのだろうか」
と考えたことはありませんか??
ここでは兄弟姉妹の代襲相続を中心に誰が相続人になるのかを分かりやすく解説していきます。
イラストを交えて解説していきますので、民法の条文を読むよりもグッと分かりやすいかと思います。
内容は兄弟姉妹の代襲相続の基本的なポイントを2つ、
- いろいろな立場のケース別兄弟姉妹の相続
- さらに踏み込んだ兄弟姉妹に養子がいるケースの相続
を解説していきます。
これを読み終えたときには、相続が起きた際に相続人は誰なのかすぐに分かるようになっていると思います。
目次
1.兄弟姉妹の代襲相続の2つの基本!
まず兄弟姉妹の代襲相続の前提として、兄弟姉妹が相続人になる条件は、亡くなった方(図では弟)に
「子どもがおらず、かつ両親や祖父母がすでに他界しているとき」
です。
そして、その兄弟姉妹(図では自分)がすでに他界している場合に代襲相続が発生します。
つまり、亡くなった方の甥や姪(図では「自分の息子」)に相続が回ってくるということです。
この「兄弟姉妹が他界しているケース」における代襲相続の基本は大きく2つあります。
- 代襲相続の対象者:兄弟姉妹の子(甥や姪)が相続権を得る
- 代襲相続の範囲の限界:兄弟姉妹の子(甥や姪)の世代まで
具体例を通じてまずは2つの基本を解説していきます。
1-1.兄弟姉妹に代襲相続はある!
亡くなった弟に子ども(第1順位)がおらず、両親や祖父母(第2順位)もすでに他界されているときは、相続は自分に回ってきます。
そのときもし弟よりも先に自分が亡くなっていれば、自分の子ども(弟から見たら甥姪)にも相続権が回ります。
1-2.兄弟姉妹の代襲相続は甥姪まで!
兄弟の代襲相続は甥姪(図で言えば自分の息子)までになります。
民法887条に規定があります。
弟が亡くなったときに、自分や自分の子ども(弟から見たら甥姪)もすでに亡くなっている場合は、自分の孫(弟から見たら甥姪の子ども)までは相続は回ってきません。
ですので、兄弟の代襲相続は甥姪の世代で止まります。(再代襲はしません)
一口メモ
相続人が全ていなくなると、相続財産は国が取得することになるよ。
2.ケース別兄弟姉妹の代襲相続
兄弟姉妹の代襲相続について、基本は前の章でお話しました。
では、この章ではケース別により詳しくご説明していきたいと思います。
ご自身の状況に近いケースを想像しながらお読みいただければわかりやすくなるかと思います。
2-1.おじさんに子どもがいないケース
おじさん夫婦には子どもがいません。
そして自分の父はすでに亡くなっています。母は健在です。
祖父母はとうの昔に亡くなっています。
このケースでは誰が相続人になるのでしょう。
相続人は、「おじさんの妻」と「自分(甥)」になります。
亡くなった方の配偶者は常に相続人になります。
ですので、おじさんの妻は相続人です。
また本来であれば兄弟である父親が相続人になるのですが、すでに他界しているため、甥である自分が相続人になります。
代襲相続は父親の下の世代へと受け継がれるイメージですので、母親には相続権がありません。
この場合、父親が被代襲者、自分が代襲者と呼ばれます。
2-2.子どものいない夫婦のケース
子どものいない夫婦のケースです。
夫の父母はとうの昔に亡くなってます。
もし夫がなくなれば相続人は誰になるでしょうか?
配偶者(自分)は常に相続人になります。
そして夫婦に子どもがいない場合は夫の兄弟姉妹や甥姪が相続人になります。
この場合に夫の相続手続をしていこうと思うと、「夫の甥」や「夫の姉」と遺産分割協議をしていかなければならなくなります。
3.兄弟姉妹の中に養子がいるケース
兄弟姉妹の中に養子がいるケースはどうでしょうか?
養子と実子の間にも親族関係が生まれるため、養子にも相続が回ります。
また養子の子どもに代襲相続が起こる場合はどうでしょうか?
〇 養子の子に相続権がある
「父母」と「養子」が養子縁組→その後、「養子の子」が生まれる
✕ 養子の子に相続権がない
「養子」に「養子の子」が生まれる→その後、「父母」と「養子」が養子縁組
となります。
詳しくは下記イラストで見ていきましょう。
3-1.実子が亡くなったら養子も相続人になる
兄弟の中に養子がいるケースです。
父と母が生前に養子縁組をしている場合は、養子と実子の間には兄弟姉妹関係が生まれます。
つまり、養子と実子たちは法律上、兄弟姉妹関係になります。
では、実子の1人である長男が亡くなったら、相続人は誰になるのでしょうか?
養子実子ともに子供や配偶者がいないと仮定します。
養子の方にも相続権があります。
この場合は養子と次男(自分)が遺産分割協議をする必要があります。
3-2.養子の子へ代襲相続するケース
「父母」と「養子」が養子縁組をした後に、「養子」に「養子の子」が生まれた場合は、「養子の子」に代襲相続します。
ポイントは、「父母と養子が養子縁組をしたときに、すでに養子に子どもがいたかどうか」です。
3-3.養子の子へ代襲相続しないケース
「養子」に「養子の子」が生まれた後に、父母と養子縁組をしている場合は、「養子の子」には代襲相続しません。
実子である「長男」と親族関係がないからです。
この場合の相続人は次男(自分)だけになります。
4.代襲相続のよくある2つの質問
前回の章までは兄弟の相続に関してのケース別でお話ししました。
この章では代襲相続に関連する特に多い疑問2つを解説していきたいと思います。
4-1.兄弟相続で自分が相続放棄をしたら、子どもは相続人になりますか?
弟が亡くなって相続が発生した時に、自分が相続放棄したら、自分の妻や子供は相続人になるのでしょうか?
結論として相続人になりません。
では、イラストで見ていきたいと思います。
相続の放棄をすると、「初めから相続人とならなかったとみなす」という規定が民法939条にあります。
そもそも自分が相続人ではないので、妻や子どもは相続人になりません。
4-2.兄弟姉妹と代襲相続人の相続割合は違いますか?
兄弟姉妹と甥姪の相続割合に違いはありません。
法律では以下の通り定められています。
民法901条
相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
つまり、兄弟姉妹の相続割合は変わらず、甥姪については人数によって被代襲者の相続割合を分けるということになります。
次男に子どもが2人いれば、その2名で次男の相続分を分ける形になります。
(次男の子が3人いれば3等分、4人いれば4等分になります)
5.まとめ
兄弟姉妹の代襲相続といっても、様々なケースが考えられますが、
ポイントとしては、
- 兄弟姉妹には代襲相続がある
- 兄弟姉妹の代襲相続は甥姪の世代までしかしない
- 養子の兄弟姉妹にも相続は回る
- 養子の兄弟姉妹の子どもに代襲相続するかは養子縁組のタイミングで決まる。
相続が発生したら、まず誰が相続人になるのかを確認するのが大事でしょう。
相続人の確定には現在戸籍や改正原戸籍等の公的な書類が必要になります。
故人の出生から死亡までの全ての戸籍や、場合によってはおじいさんやおばあさんの出生まで遡る必要が出てきます。
もしご自身が相続人に当たるかどうか迷われたときは、行政書士等の専門家に相談するのがベストです。
身の回りで相続が発生したときに、この記事が役に立てば幸甚です。